東京大学先進融合部会
(Department of Avant-Garde Arts)は、
教養学部の芸術教育を担う組織です。
組織

先進融合部会は教員2人と事務員1人から成るとても小さな部会です。アドバンスト文理融合運営委員会というすこし大きめの組織と、芸術創造連携研究機構というもっと大きな組織のサポートを受けながら、主に教養学部の前期課程(1、2年)向けの芸術制作授業を運営しています。

メンバー

誰がいるの?

パフォーマンス研究/制作を専門にする中井悠(准教授)とマンガ研究を専門にする三輪健太朗(准教授)、事務を担当する澤栗由佳の三人体制です。

授業

何を教えているの?

前期課程の文系理系両方の学生向けに芸術制作の実践的なワークショップ型授業を開講しています。《認知と芸術》、《身体と芸術》、《メディアと芸術》《研究入門》という大まかなカテゴリー区分のもと、実験音楽、楽器制作、マンガ分析、拡張されたダンス、数学的デザインなど多彩なアプローチで創造のからくりを解きほぐし、自らの手で組み立てることを学べます。前期課程以外の学生が聴講という形で参加可能な授業もあるので興味があれば部会か担当教員に連絡してください。

《認知と芸術》= 《身体と芸術》=● 《メディアと芸術》= 《研究入門》=

18号館ホールのからくり

中井悠|金曜5限| Aセメスター

駒場キャンパスの18号館ホールはかなり充実した施設であるにも関わらず誰もその充実した設備の全貌を把握していないことが最近の調べで判明しました。この授業では18号館ホールを巨大な「楽器」に見立てて、さまざまな仕方でその構造や機能、クセや能力を内部から探り出し、この楽器でしか上演できないパフォーマンスをみんなで構想します。この場合、「パフォーマンス」という言葉は「人の前で演じられるもの」という広い意味で使われており、音楽、演劇、上映会、レクチャー、漫才、ダンス、伝統芸能、授業などはもちろん、それ以外の形式にも開かれています。最終的にできるパフォーマンスは受講生それぞれがひとつでも、複数人でひとつでも、全体でひとつでも構いません。既存の作品の上演も含めます。

中井悠/副産物ラボhttps://www.selout.site/jp

もっと詳しく

アルシ・コレオグラフィーズ

中井悠|月曜5限|S/Aセメスター

口癖、手癖、怠け癖、思考壁、酒癖、難癖、曲者、潔癖、寝癖、癖が強い、などなど、日本語の「クセ」という言葉は、単なる「習慣(habit)」には収まらない広がりを持つ不思議な概念です。この授業では人の持つさまざまな「クセ」を、当人が知らない間に身体や思考に植え付けられた根源的な「振り付け(コレオグラフィー)」とみなし、拡張されたダンスの問題として捉えます。そしてそのような身体や思考の偏りを受講生どうしの相互観察を通じて探り合い、個々のクセの来歴を明らかにしたり、それを他人に移したりすることで、個人の「その人らしさ」という感覚がどこで生み出され、どのように変容しうるかを検証します。新しい振付を考えることでダンスをいわば足し算的につくる通常のアプローチとは逆に、各自が気づかないうちにすでに踊っている振付を露わにすることで引き算的にダンスを浮かび上がらせる試みです。

中井悠/副産物ラボhttps://www.selout.site/jp

もっと詳しく

マンガにとって
コマ割りとは何か

三輪健太朗|火曜2限|S/Aセメスター

この授業では、視覚芸術としてのマンガの「コマ割り」をめぐって、講義と実践的演習の両面から探究します。マンガの制作には、物語を構想すること、絵を描くことなど、様々な技術が用いられますが、中でも「コマ割り」はこのジャンルに固有の要素として、マンガに関する従来の批評・研究の中でも特権視されてきました。本授業では、そうした従来の理論について学びつつ、受講者各自が手を動かして実際にコマ割りという作業を体験することを通して、このジャンル固有の特性について考えを深めることを目的とします。受講者の作成物は、授業内で発表やコメントをしてもらう予定です。あくまでも実践を通して理論的に考えることが狙いですので、マンガ制作の技術的な向上を指導する授業ではありません(これまでのマンガ制作の経験も不問とします)。またコマ割りに焦点を当てた内容ですので、絵の巧拙は一切問いません(全然描けないという方でも結構です)。

もっと詳しく

実験的メディア考古学:
19世紀の映像装置を再発明する

岩井俊雄+橋本典久|集中|Aセメスター

19世紀末、エジソンやリュミエール兄弟によって映画が生まれ、現代の映像文化へと発展していく。しかしさらに遡れば、200年前にイギリスの科学者ロジェが規則的に並んだ柵の後ろを通る馬車の車輪のスポークが奇妙に歪んで見えることに気がついたことに辿り着く。柵と馬車の車輪がなぜ映像装置の発明へとつながるのだろうか?この授業ではこうした19世紀の発見や映像装置を資料から読み解き、実際に自分で作り、実験し、仕組みや効果を検証しながら、我々が日常的に目にしている映像というもののルーツに迫ります。そして19世紀にこぼれおちてしまったポテンシャルを拾い上げ、そこから新しい映像装置やメディアを再発明する試みにつなげます。

メディアアーティストで絵本作家の岩井俊雄と、プリミティブメディアアーティストの橋本典久が担当。受講者とともに未知なる映像の魅力を発見する機会となることを期待しています。

もっと詳しく

物と体と音についての実習

西原尚|木曜5限|Aセメスター

毎回の授業で、ひとつずつ、音が鳴る物を作ります。作業を通じて、自分の体の働き方を見つめ直します。手で材料を加工し、音を鳴らし、耳で聞き、そして手の作業を繰り返し、再び音を鳴らして、耳で聞き、手の作業を重ね、音の鳴り具合を確認し、手の作業に戻るといった、体の連携とフィードバックの作業を行います。音を媒介に耳と手の連携を見直す作業であり、普段は使わない思考回路の開通作業でもあります。理屈で音が鳴る仕組みを理解することと同時に、またそれ以上に鳴り物の音の具合に耳を澄ませながら、手触りや手探りを頼りに次の手作業を判断する、という作業です。そして耳と手を使うことから、体全体のネットワークを再認識することを目標にします。

もっと詳しく

個と群

舘知宏+野老朝雄|集中講義|Aセメスター

美術家の野老朝雄氏をお招きし、本学で「かたち」について研究者している舘知宏と協働しながら、集中講義で制作を行う実技の授業です。野老さんの制作のプロセスを受講者が実際に手を動かしながら一緒に実践します。野老は、図形的操作や幾何学的原理に基づき、単純なピースを組み合わせて平面や空間を充填することで、多様な表現を生み出しています。東京2020オリンピック・パラリンピックエンブレム「組市松紋」をはじめとし、紋様作品、グラフィックデザイン、建築ファサードデザインなど、その表現は多岐にわたりますが、野老はこれらの表現の体系を「個と群」と呼んでいます。本科目では、受講者は実際に手を動かしながら、「個と群」による表現のアクティビティを実践します。さらに授業中の講評・講義では、「かたち」を通して、幾何学、アルゴリズム、生物、建築などを横断した学問のつながりをたどります。例えば、「個と群」の原理は古今東西の紋様、建築や宇宙構造物、セル材料、結晶や準結晶の原子配列、あるいはウイルスのカプシドの自己集合など、自然現象や人工物に普遍的にあらわれる考え方です。

もっと詳しく

数学と音楽

舘知宏+中島さち子|集中講義|Aセメスター

集中講義で創作活動を実践する。音楽家かつ数学研究者・STEAM教育者の中島さち子と本学研究者の舘知宏とが協働し担当する。途中、中島の周囲の音楽家もゲストに呼び込み、サックスやドラム、ベースなども一緒に演奏を交えて伝えていく。制作の実践とフィードバックのサイクルの中に、理論的・実践的なレクチャーが織り込まれる。音楽と数学の関係について、例えばバッハなどに見られる対称的構造、ハーモニーや音律と数比の関係、コードの変化と群、リズムと円の分割、さまざまな音色とフーリエ解析などに基づき、さまざまな音楽の背後に潜む数学について解説を行う。また、簡単にProcessing ないし p5.js を用いて多様な形で音の視覚化やAIと絡める方法を示唆し、創作に生かせるようにする。バッハやモーツァルト、ベートーベン、ドビュッシー、コルトレーン、中島や他音楽家の楽曲の特徴を司る数学的特徴や時代背景と数比の関係などを多岐にわたって紹介する。数学x音楽による五感のアートの事例も総合的な演出で魅せることで、音楽やアートの未来と数学・技術・ものづくりとの協働の可能性を探る。本科目では、「数学と音楽」による新たな表現を模索し、実践する。

もっと詳しく

『絵の授業』

O JUN|金曜5-6限|Aセメスター

絵を見る 
絵を描く
絵を考える

上記のことを授業の中で実技演習を通して体験します。画家やプロフェッショナルなアーティストを養成する授業ではありませんが、絵画について美術について新たな視座や視点を持ちたいと考えています。

もっと詳しく

つながるかたち

舘知宏|集中|S/Aセメスター

「研究入門」では、芸術と諸学術の協働により得られた諸分野の問いに実際に取り組み、教員のメンターシップのもと、研究発表、展示・公演、社会実装などを目指します。「つながるかたち」では、手を動かして「かたち」をつくることを端緒とし、科学的視点で発見すること、問いを得ること、その問いを解くことの連鎖を実践します。研究室のデジタルファブリケーション機器などを用いた製作や、CAD・プログラミングによるモデリングなども行います。

もっと詳しく

副産物ラボ

中井悠|月曜6限|S/Aセメスター

さまざまな専門を持つ学生とともに、広い意味での「パフォーマンス」の研究と制作を軸にしながら、「癖」や「影響」など多様なトピックに関するセミナーや出版物の企画を行なっています。同時に、ラボ名のとおり、個々の目的を追求する過程において生じてくる思いがけない副産物にも注目し、それらを活動に折り返す回路を開発することも目指します。

もっと詳しく

アートする身体

工藤和俊|集中|Aセメスター

スポーツ、ダンス、音楽などのパフォーマンス時における動作、筋活動、心拍、呼吸等の生体情報計測、映像解析、および文献調査等を用いてアート・パフォーマンス熟達者の身体技法やパフォーマンスの熟達プロセスを明かにするとともに、国内外での研究発表を目指します。

もっと詳しく

合唱音楽の実践的研究

辻裕久+尾藤万希子|木曜2限| Aセメスター

音楽の実践を授業として学ぶ場である。テノール歌手として活躍し、合唱指導のキャリアも長い辻裕久氏を講師に迎え、混声合唱を基本から学ぶ。音楽実習室のキャパシティーから履修者の上限を80名前後とする。また、初回授業(対面実施)時にパート編制を行うが、パートの人数バランスによっては抽選等による選別の可能性もある。授業履修に際しては指定教科書の入手を必須条件としている。発声を整えつつ、言語、様式などの異なるさまざまな合唱作品を音楽的に構成してゆく過程を体感する。毎回の授業では全員による総合練習に加え、パート練習の時間を持つ。それぞれ自主性、協調性を発揮し、音楽構成に全員で参加、寄与することを目標としたい。最終時には既習作品の全曲演奏を行い、授業のまとめとする。

もっと詳しく